![]() 今回ご登場いただくのは近藤健太郎さん。The Bookmarcs、the Sweet Onionsなどのユニットで長年活躍し、2021年にはソロ名義としての初音源「Begin」(7 インチ・アナログ)をリリース。 そして2025年、待望のソロ・デビュー・アルバム『Strange Village』を発表した。 これまで何度もCheer Up!にご登場下さっている近藤さん。変わらぬ美声、エバーグリーンな輝きが詰まったサウンド、何度も聴きたくなるファン待望のアルバムについて、じっくりお伺いした。 美しく癒される歌声はますます多くの人に届いてほしいと思わされる。この記事を機にぜひ近藤さんの音楽に触れてほしい。(2025年4月) ---今回ソロアルバムを出すことになった経緯について教えて頂けますか? The Bookmarcsの活動やお仕事もある中で大変だったのではないかと思いますが、制作期間はどのぐらいかかりましたか。 近藤:遡ること2020年の夏、blue-very labelの中村慶さんに僕のデモ・ストックを聴いていただいたことがきっかけで、ソロとしては初音源、3曲入りの7インチレコード『Begin』を2021年5月にリリースしました。 勢いそのまま、年内にフル・アルバムも発表する予定でいたのですが、ご指摘の通り他の活動も並行していたので、それ以降はThe Bookmarcs、そしてSnow Sheepのアルバムをそれぞれリリースしたり、レーベル運営(イベントやCDリリース)や、ラジオのパーソナリティを務めたりと、ありがたく充実した時間を過ごしておりました。 その合間に、期間としては1年半くらいでしょうか、共同プロデューサーの及川雅仁君と共に、気の向くままじっくり制作に取り組んでおりました。新曲が出来たらすぐ及川君に送って、夜中に延々とLINEで意見交換をしたりと、とにかくそのやりとりが楽しかったです。これまでのストックだけを録音したのではなく、新しい曲も交えながら、終始新鮮な気持ちでアルバムを作ることができました。 ギリギリまで時間を引っ張ってしまった僕を、あたたかい目で見守って付き合ってくれた、レーベルや制作の関係者にあらためて感謝したいです。 ---『Strange Village』というアルバムタイトルがユニークで、近藤さんの今までの参加アルバムからするとちょっと意外な感じもしました。このタイトルに込めた思いについて教えて頂けますか? 近藤:歌詞が全て揃いあらためて俯瞰して読み返した時、なんとなく世界観が繋がっている印象を受けました。夢と現実の狭間、様々な人間模様、まだ見ぬ景色と旅、心の故郷、自然や動物への畏れと憧れ等々、美しくもどこか奇妙で不思議な物語を、自分なりに音と言葉で表現したくて、こんなタイトルをつけてみました。 詩集や短編小説集、またはオムニバス映画を楽しむ感覚で、聴いてもらえたら嬉しいです。 ---近藤さんにはこれまで何度もインタビューさせて頂いていますが、最近は作曲方法の変化などあったでしょうか。今回のアルバムでは、詞先曲先どちらが多いでしょう? 英語で詞を考えるのでしょうか。それともおおよそ日本語で考えてから訳するのでしょうか? 近藤:今作はすべて曲先です。主にギターやピアノをポロポロ弾きながら、鼻歌で作曲します。デタラメ英語で歌ってしまうので、歌詞にする際はその響きや英単語、センテンスをもとに日本語で考えつつ、メロディにうまく乗るように書いていきます。 余談ですが、blue-very label中村さんのCD付詩集『虚ろげな日々の断片』にソロ名義で提供した(後に配信リリース)「Lost Clown」という曲は、彼による日本語の詩に僕が曲を付けて完成した、今のところ唯一、詞先で作ったソロ音源です。 ---曲を作るとき、The Bookmarcsとはまた違う気持ちで作っていらっしゃるのでしょうか? 近藤:The Bookmarcsは洞澤さんが作・編曲、僕は歌詞と歌を担当しています。常に新鮮な驚きをくれる洞澤さんのメロディに毎度唸りながら、僕なりにテーマやスタイルを模索しながら作っています。 最近は洞澤さんの奏でるコード進行に、僕がメロディをつけるという、いわゆるコライトに挑戦しております。次のアルバムではその楽曲も、いくつかお披露目できるかと思います。 ---アナログ7インチ『Begin』の共同プロデューサー及川雅仁さんとご一緒にアレンジもされたそうですが、ホルン、サックス、フルートなどの管楽器のアイディアは及川さん、近藤さんのどちらから出てくることが多いのですか? 近藤:作曲の段階で使いたい楽器や大まかなフレーズ、イメージがまず浮かんでいるので、デモやメモにそれを反映して及川君にまず聴いてもらいます。 及川君とはやりたい方向がほぼ一緒なので、意見やアイディアのキャッチボールはいつも順調に進み、最終的に及川君がまとめてくれる感じです。とりわけ「Ebony Night」は及川君がかなりの部分をアレンジしてくれています。 演奏してくれたのは7インチ『Begin』にも参加してくれたmarinさん(フルート、オーボエ)とmaayaさん(フレンチ・ホルン)。お二人は学生時代からの吹奏楽団仲間で息はぴったり、レコーディングはいつも和気藹々と楽しかったです。 ちなみにアルバム収録の「Heaven」はオーボエ・ヴァージョン。7インチではフルートをフィーチャーしておりますので、是非聴き比べていただけたら嬉しいです。 サックスはsmall gardenの小園兼一郎さんにお願いしました。「The Magic Is Coming」という曲にサックスを入れたいと及川君に相談していて、レコーディングの最終段階でオファーさせていただきました。こちらは曲の方向性だけを伝えて、アレンジは小園さんにお任せ。帰ってきた素材は本当に素晴らしく、及川君と感動しきりでしたね。 ---今回、「She Is Mine」に杉真理さんが参加されていてびっくりしました。 さりげないコーラスが美しいですね。どういった経緯で杉さんが参加されたのでしょうか。杉さんは近藤さんからみてどんな方ですか? 近藤: 土橋さん(FLY HIGH RECORDS)が杉さんと以前からお仕事をしていることを知っていたので、僕も杉さんの音楽が10代の頃から好きで、ソロはもちろん後追いでナイアガラ、とりわけBOXは大ファン!そんな話を土橋さんによくしていたんです。 その後、杉さんのラジオ番組にThe Bookmarcsでゲストに呼んでいただき、何度かお会いする機会がありました。昨年の夏、「ようこそ夢街名曲堂へ!」(昨年から準レギュラーとして出演)収録後の雑談中、録音途中の「She Is Mine」を土橋さんに聴いてもらったところ、「杉さんにコーラス頼んでみようよ?」と、びっくりな提案をいただき、恐縮のあまり最初は萎縮していたんですが(笑)、ありがたくも実現し、僕にとっては夢のような経験をさせていただきました。 杉さんは本当に優しく気さくな方で、年齢立場関わらず分け隔てなく接してくれる素敵な方です。音楽もずっとフレッシュだし、あんな風に歳を重ねていきたいなぁって、ずっと憧れてます。 ---8曲目の「Ebony Night」ですが、インストかと思って聴いていました。ピアノが美しいですし、雨が降っている夜のような?不思議な曲で心に残りました。イントロが長いものにしようとあらかじめ考えておられたのでしょうか? 近藤:まさに最初はインストのつもりで作っていました。或る夜に何となくピアノを弾いていたら最初のフレーズが浮かんできて、どんどん自然な形でまとまっていきました。及川君がすぐに気にいってくれて、前述の通りフルート、ホルンのアイディアや、夜の精が彷徨っている感じとか、どこか不思議なイメージをあれこれ音に詰め込んだ楽曲になりました。 ---最近の近藤さんのCheer Up!ミュージックについて教えていただけますか? 近藤:最近はアンビエント・ミュージックを聴くことが多いです。品川区の中延に「春の雨 cafe & records」というお店がありまして、気になるレコードが沢山ありますよ。 ---2025年のご予定はいかがですか。 近藤: 早くもセカンド・アルバムの構想があります。ファーストに収録できなかった録音中の曲もあるので、「レコーディングを止めるな!」の精神で引き続き制作していく予定です。バンド形態でのレコ発的なライヴもやりたいですね。 The Bookmarcsの4thアルバムも年内目標で動いているので、時間がまたあっという間に過ぎていきますね。何より聴いてくださる方がいること、音楽を一緒に作ってくれる友人達の存在にいつも感謝しつつ、焦らず出来ることを着々と、健康第一で頑張っていきたいと思います。 ---ソロとしての展望、夢、今後どんなアルバムを作りたいか?など教えていただけますか。 個人的にはカヴァーも聴いてみたいと感じました。 近藤:カヴァーはThe Bookmarcsの隔月配信ライヴで色々な曲を演奏しているので、いつか音源でも発表できたらいいねって、洞澤さんとよく話してます。 展望は・・・。そうですね、一番は自分が聴きたい音楽を作る。結局それに尽きる気がします。素敵な音楽を聴くと、自分も作ってみたいなぁと思うんですよね。そのフレッシュな気持ちがある限りは、自分を信じてマイペースに、楽しく音楽を続けることができたら幸せです。 ---どうもありがとうございました。セカンド・アルバム、そしてThe Bookmarcsの新譜も楽しみにしております! ![]() 『Strange Village』近藤健太郎 1. We aren't free (as it is now) 2. Find Love 3. The Magic Is Coming 4. Floating Bird 5. She Is Mine 6. City In The Cloud 7. Tonight 8. Ebony Night 9. Silent Adventure 10. American Pie -Album Mix- 11. Heaven -Album Mix- 12. My Sweet Farm -Village Version- 13. Begin -Album Mix- 14. Change My Mind 発売日:2025年3月5日 発売元:blue-very label / FLY HIGH RECORDS / philia records 品番:VSCF-1780 / blvd-049 価格:3,000 円(税込) Produced by Masahito Oikawa & Kentaro Kondo All Lyrics & Music by Kentaro Kondo Arranged and Directed by Masahito Oikawa & Kentaro Kondo ![]() ◆近藤健太郎プロフィール The Bookmarcs、the Sweet Onions、Snow Sheep、ソロで活動中。 それぞれヴォーカル、ギター、ピアノ、作詞、作曲等を担当。 ラジオ番組『The Bookmarcs Radio Marine Café』(マリン FM)のナビゲーター 。 『ようこそ夢街名曲堂へ!』(K-mix)準レギュラーとして出演中。 自主レーベル philia records を主宰。CD リリース、イベント企画、また他アーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースも手掛けている(小林しの、藍田理緒 etc)。 2025年3月5日、ソロとして初のフル・アルバム『Strange Village』をリリース。 【過去の代表的な作品】 『pictures』the Sweet Onions(アルバム/2004 年) 『Life is Beautiful』the Sweet Onions(アルバム/2006 年) 『BOOKMARC MUSIC』The Bookmarcs(アルバム/2017 年) 『BOOKMARC MELODY』The Bookmarcs(アルバム/2018 年) 『BOOKMARC SEASON』The Bookmarcs(アルバム/2021 年) 『Begin』近藤健太郎(7inch シングル/2021 年) 『Easy Living Vol.1』(コンピレーション・アルバム/プロデュース/2006 年) 『Looking for a key』小林しの(アルバム/レーベル・プロデュース/2016 年) 『NOSTALGIC HOUR』 KARIMA(アルバム/共同プロデュース/2022 年) 『森のスピカ』藍田理緒(アルバム/全楽曲提供、サウンド・プロデュース/2018 年) 「Goodbye,Little Girl」藍田理緒(楽曲提供/2019 年) 「通り雨」藍田理緒(楽曲提供/2020 年) 「記憶のプリズム」小林しの(楽曲提供/2016 年) 「large gate」小林しの(楽曲提供/2020 年) 「星の色に似た海」小林しの(楽曲提供/2020 年) など 近藤健太郎 note https://note.com/kentarokondo philia records http://www.philiarecords.com philia records X https://x.com/PhiliaRecords The Bookmarcs X https://x.com/TheBookmarcs <Cheer Up!関連リンク> 近藤健太郎「Begin」特集(2021年) http://www.cheerup777.com/2021kondo1.html The Bookmarcs『BOOKMARC SEASON』インタビュー(2021年) http://www.cheerup777.com/2021bookmarcs.html 小林しの『Cold And Warm Winter』/近藤健太郎コメント参加(2021年) http://www.cheerup777.com/kobayashishino2020-2.html 特集:Cheer Up!Music2020/近藤健太郎コメント参加(2020年) http://www.cheerup777.com/2020cheerup.html 藍田理緒「通り雨」/近藤健太郎コメント参加(2020年) http://www.cheerup777.com/aida2020-2.html The Bookmarcs「BOOKMARC MELODY」インタビュー(2019年) http://www.cheerup777.com/bookmarcs2019.html 藍田理緒『森のスピカ』/近藤健太郎コメント参加(2018年) http://www.cheerup777.com/aidario2.html The Bookmarcs「BOOKMARC MUSIC」インタビュー(2017年) http://www.cheerup777.com/bookmarcs2017.html The Bookmarcs「追憶の君」新譜情報コメント参加(2016年) https://ameblo.jp/cheerup2009/entry-12175348906.html 小林しの『Looking for a key』/近藤健太郎コメント参加(2016年) http://www.cheerup777.com/shino3.html The Bookmarcs「Transparent」インタビュー(2012年) http://www.cheerup777.com/bookmarc1.html |