Cheer Up!の発信地・仙台から今回登場して頂くのは、インディーズシーンで長年活躍しているred go-cart。
雑誌「米国音楽」などを読まれていた方にはおなじみの存在ではないかと思う。
レーベルにはさまざまな国からコンタクトがあるという彼ら。音楽への真摯な気持ちが伝わってくる濃いインタビュー、ぜひ味わって頂きながら、red go-cartの音楽に触れてみて頂ければと思う。(2016年6月)




---red go-cart結成のきっかけ、活動開始はいつ頃だったかを教えて下さい。


tomomi:1995年頃。外国の、7インチレコードしかリリースしていないようなバンドが大好きで、影響されまくって曲を作り始めました。
パステルズのバッジなくしただの、外国のレーベルにレコードをメールオーダーしただの、そんな曲ばっかり(笑)。
いい感じに曲がたまってきたのでライブもやろうかとメンバーを集めました。
heavenly(注1)みたいなバンドにしたいなーと思ってました。



---バンド名red go-cartの由来を教えて頂けますか?


tomomi:当時「米国音楽」(注2)という雑誌を情報元に好きなバンドの情報を集めていて、ドイツのTHROW THAT BEAT IN THE GARBAGECAN!というバンドの大ファンになりました。
カラフルでポップな彼らの曲の中でも最高に可愛い"little red go-cart"という曲が大好きでそのままいただきました。



---1996〜1999年ぐらいの時期に、雑誌「米国音楽」にインタビュー記事や音源が載ったり、沢山のイベントにも参加していたred go-cart。
その頃の思い出やエピソードを教えて下さい。



tomomi:忙しかったです。わたしはred go-cartと同時進行で「pastels badge」(注3)というファンジンとrecycledpopというバンドもやっていたので、それ以外のことやってた記憶がないかも。
こっちの活動の合間にかろうじて仕事にもいってた感じです。

大好きだったバンドのオープニングアクトやったり、対バンして嬉しかったり、やはりそういうことが一番印象に残っています。


---当時、イベントでは、どんなバンドと一緒に出演していたのですか?


tomomi:後述のclover records、galaxy trainのバンドはもとより、海外のバンドでは U.S.のmodest mouse、bunnygrant、Krecordsのthe crabs、sarah dougher、日本のバンドだと800cherries、advantage lucy、threeberry icecream、swarm's arm、dizzy yoghurt、吉野桃子さんなどなど、他にもたくさん!



---地元・仙台では、「米国音楽」の小出亜佐子さんをDJに迎えてイベントを主催したり、「Pinky Blue」というイベントに出演されていましたが、仙台のインディーポップシーンについては、当時どんな感じでしたか?


tomomi:ギターポップやインディーポップの下地が全国的にある時期だったと思います。
仙台も同様だったように記憶しています。



---red go-cartは、ファンジン「SPACE」との交流が深かったそうですね。
「SPACE」発行の皆さんとはどんなきっかけで出会ったのですか?



tomomi:仙台でライブした時、対バンだったlove love strawの追っかけで観に来ていて知り合いました。
打ち上げで意気投合してどんどん仲良くなっていった感じです。
SPACEはその後、下北沢shelterを拠点にギターポップライブイベントを定例開催するようになりますが、その記念すべき第一回目に呼んでもらいました。
当時特に思い入れが強かったアノラック色満載(注4)のイベントで画期的だったと思います。本当に全国からアノラックファンが集まってた。熱量がハンパなかったです。



---red go-cartのジャケットはどれも可愛くてインパクトがありますね!
イラストレーターハットリアキコさん(当時はイトウアキコさん)が長年手掛けているそうですが、ハットリさんとの出会いのきっかけは?



tomomi:出会いは前述の「SPACE」です。「SPACE」のデザイン担当がイトウ(ハットリ)アキコさんです。
当時は学生さんでした。可愛いだけじゃない、ちょっとヘンテコな感性を持ってる気がします。
はじめてのカセットからお願いしてるので、もう20年位一緒に作品を作ってることになりますね。
いなくてはならない存在です。会えばくだらない話で盛り上がれるところも大好きです。



---red go-cartは、clover records(注5)やgalaxy train(注6)から作品をリリースしていますが、これらのレーベルとの出会いのきっかけやエピソードを教えて下さい。


tomomi:clover recordsはロッキンオンの文通欄のデモテープコーナーに載ってたのをみてわたしが手紙を書いて知り合いました。
よく東京にレコードを買いに行っていたので、そのたび新宿のラフトレードやヴィニールジャパンで待ち合わせたあと居酒屋で飲みながら新曲を聴いてもらったりしてました。
オーナーの斎藤さんはすごく良い曲を作るアーティストでもあるし、相談にもぬるりとのってくれる兄貴的存在でした。その後はねこのマコロン社長が就任してレーベルを継続させています。

galaxy trainは、「SPACE」のイベントでred go-cartのライブを観たオーナーの梅木さんに声をかけていただきました。東京でライブをするたびに名古屋から観に来てくれて、いつも最前列でゆらゆら踊ってくれてました。まさかこんなにやり手のレーベルオーナーさんとは信じられないチャーミングなダンスでした(笑)。
このふたつのレーベルのことは今でも心から信頼しています。



---海外のファンも多いred go-cartですが、現在も海外ファンや海外インディーポップアーティストとの交流は続いていますか?


tomomi:以前からちょこちょこと海外からのコンタクトはありましたが、むしろ最近、新作カセット発表後の方が海外で聴かれてることを実感してます。
『sheep and one second』は、レーベルで通販取扱してもらってますが、イギリス、アメリカ、スペイン、チリ、ギリシャ、などなど、本当にたくさんの国の方からの申し込みがあるみたい。
言葉も文化も違う遠い国に住んでいる人が、どういうきっかけでred go-cartのことを知ってくれたんだろう、とか、どういうところが好きで聴いてくれてるんだろう、とかを想像すると、嬉しさに少しだけ気が遠くなる感じがまじります。不思議で幸せな気持ちです。
U.S.のJigsaw Records(注7)が作品を取り扱ってくれたことも嬉しかったです。



---曲はどのようにに作っているのですか?


tomomi:曲はほぼ100%偶然できるのを待ちます。かなりアグレッシブに待ちます。
曲の全体イメージが固まったらそれぞれのパートの練習をはじめます。
演奏して険悪にならない程度に上達した頃を見計らってスタジオで合わせます。
バンドで演奏してしっくりこない時は宅録に切り替えてじっくり練ることになります。
曲が世に出るまで、とにかく地味な作業をしつこく繰り返します。



---2015年には新作『sheep and one second』をリリース。
キュートな歌声は変わらないものの、以前のアクティブ、パワフルなイメージとはまた違い、ふわっとした感じ、漂うようなサウンドがちょっと意外に感じました。



tomomi:その時々で嘘のないこと。red go-cartでやっていることはそれが全部です。
わたし自身は最初のカセットから最新作まで、全然変わってないと思っています。



---今後の予定や展望を教えて下さい。


tomomi:galaxy trainから新作をカセットでリリースします。今年7月頃、夏のカセットです!
ダウンロードコード付きでバンドキャンプでも同時リリースするので、カセットデッキがなくても大丈夫(笑)。初夏に弾けるシャボン玉みたいな音符☆ぜひ聴いてください。
秋頃からはライブもやろうかなと思っています。
詳細はofficial website、face book、twitterなどでお知らせしていきます。
ねこプロジェクトのmelody catもいよいよ始動させたいです。



---最後に、メンバー皆さんのCheer Up!ミュージックを教えて下さい。


tomomi:New Order "Regret"
先日バンドで飲んだ時、この曲のイントロ、特に最初の一音は凄い!と、珍しく意見が一致したので記念にチョイスしてみました。音を聴いたその一瞬で空気や景色が変わる体験は、生きていく上での原動力になりますね。



---どうもありがとうございました。夏のカセットリリース楽しみにしています!!



【編集後記】
Cheer Up!と同郷の仙台のバンドにご登場頂けて本当に嬉しいです。
個人的には、2000年代に仲間と発行していたフリーペーパーの一冊目にも登場頂いたり、red go-cartの出演するイベントに行ったりと想い出も多く、いろいろなことを思い出しながら編集させて頂きました。




注1)前身はアノラック・バンドTalulah Gosh。英国インディーズのレーベル「Sarah Records」から1992年1stアルバム『Le Jardin De Heavenly』リリース。レーベルを代表する人気バンド。


注2)1990年代に創刊されたインディーズ音楽を中心にした音楽雑誌。ギターポップ、ネオアコなどを取り上げ付録CDには内外問わず良質のインディーズミュージックを多数収録していた。ファンジン・ミニコミ・カセットの宣伝の場としても大きな役割を果たす。2005年のVol.23以降廃刊した様子(公式情報は見当たらず)


注3)tomomiによる、ファンジン「pastels badge」解説:
あまりメディアにとりあげられていなかったインディバンドのレターインタ ビューや7インチレコードのレビューで構成。主に海外のバンドを紹介してまし た。グラフィックデザインが台頭してきた90年代半ばに、まさかの切り貼りデザ インに手書き文字。60ページものボリュームをものともしない両面コピー製作。(今ならもう少し頭を使うと思います)わたしの偏愛に満ちてます。
1995年0号、1997年1号、正式にはこの2冊しか発行していません。
国内のインディレコード屋さんに直談判で取引して置いてもらってました。


注4)アノラックとは、1980年代にスコットランドで人気を博したインディーバンド、ザ・パステルズ (The Pastels)が起源のようだが諸説ある。名前の由来はアノラックムーブメントのイベントで、バンドやファンがアノラックを着ていたからだとか・・・。


注5)1995年に手作業でのダビングによるカセット・テープのリリースからスタートした、インディペンデント・レーベル(公式サイトより引用)
http://www.clover-records.com/

注6)名古屋を拠点に活動するインディーポップレーベル。 http://Galaxytrain.Music.Coocan.Jp
詳細については、galaxy trainレーベルオーナーのインタビュー記事をぜひお読み頂きたい。
http://www.cheerup777.com/gp/galaxytrain.html

注7)アメリカの人気インディーポップレーベル。
http://jigsaw-records.com/







red go-cart プロフィール:

メンバー tomomi usui(Vo,g)yuji usui(b,g)kenji itokazu(ds,synth)
1996年、多重録音による音源制作スタート。1996年Clover Recordsから1stカ セットテープEP『sweets consists of red go-cart』をリリース。1995年から活 動しているyujiのバンドRecycledpop、tomomi発行のファンジン「pastels badge」とともに米国音楽・クッキーシーンほか国内外のZineに数多く紹介され 話題を呼ぶ。海外ではTwee Popと評される。
仙台で制作しつつ、東京を中心にライブ活動も開始。
疾走感溢れるジャングリーなライブがインディーファンの心をつかむ。
1999年1stアルバム『skip and make it flower』リリース。 2001年2ndアルバム『singin' up to the star』リリース。

2009年、現メンバーとなる。3ピースバンドでライブ活動開始。
テクニックの無さでゴリ押すライブが図らずもシューゲイズ風アノラックないい感じに仕上がる。
2015年、最新作『Sheep And One Second』をリリース。



red go-cart Official Web Site
http://redgo-cart.com/

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SoundCloud(試聴)
https://soundcloud.com/red-go-cart




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