<浅川太平 インタビュー>    <コメント>


伊藤輝彦(JAZZ ROOM CORTEZ オーナー)

私は心のどこかに歌伴(歌の伴奏)の上手いピアニストは本当に上手いピアニストだと思っております。
例えばトミーフラナガン、ビルエバンス、ルイスヴァンダイク、私がジャズと出会ってから今でもこよなく聴いているピアニストです。
今回、コルテスサウンドから発売される浅川太平さんも、とても歌伴が上手いピアニスト。
彼との出会いは、ワンホーンクァルテットで初めてコルテスに来ていただいた時でした。当時、コルテスはアップライトピアノでしたが、そのピアノの音色はとても優しく、また時には激しくとアップライトピアノの様な音色と一味違った印象がありました。
ライブ終了後に浅川君と話した時の印象はとても心の優しい方、人格も素晴らしい、そんな方に思えました!!そして、しばらくしてFBに女性ヴォーカリストのアユコさんとライブをやっているとの情報を見つけました、やっぱり歌伴やるんだ。自分の気持ちの中でならば聴きたい、そうだ二人を呼んでコルテスでやろう。決断は早かったです。そして、アユコさんとのライブは二回やりました。そして、これも何となくでしたがソロピアノやってみませんか?
私が浅川君に言ったような気がします。
デュオのライブを聴いていてその優しさ溢れたピアノの音色、とてもドリーミングなフレーズ、いいなあ。
ならば、ソロのライブをやりそれをコルテスサウンドのCDとして発売しよう。
お互いに迷いませんでした。題材は浅川君にまかせました。しかし、エバンスとは驚きましたね。
当日、アユコさんも来ていただきお客様も緊張感溢れたなかでの収録になりました。その音色の美しいこと、そのまま夜空に溶け込んで行く余韻。
どうぞ、聴いてみてください。浅川太平、素晴らしいです。

JAZZ ROOM CORTEZ
http://cortez.jp/




ayuko(シンガー)

浅川太平さんとの出会いは6年前、"俺の株式会社"のスタジオでした。
静かにピアノに座り次々に様々な曲を編曲して弾いている姿がとても印象に残っています。
クラシックからもちろんスタンダード、ロック、ポップス、オリジナルそのどれもがどこにも無い不思議な音感覚で浅川太平さんの強烈な匂いがありました。

そんな浅川さんの共演者するインストミュージシャンはどの方も個々のアイデンティティを持った音と技術、空間的な音感覚を持ち合わせた方が多く、毎回違う即興の音楽をリスナーとしても、とても楽しみに聞いていました。

2017年、蒲田のBar Timeにて 「浅川太平、至上の愛ピアノソロ」
このネーミングだけでドキッとします。
1965年ジョンコルトレーン、マッコイタイナー、ジミーギャリソン、エルビンジョーンズの名盤が頭をよぎりますが、この日はピアノソロ120分ノンストップで弾いたライブだったそうです。(私はライブには残念ながら伺えなかった)

視聴はこちら↓



のちに出たYouTube、百聞は一見にしかず、私はとてもカッコいいと思い、さらにソロピアノを聞いてみたいと思うようになっていたのです。
この気持ちは至上の愛をその場で聞いていたお客様や水戸のコルテス マスター伊藤さんも同じだったのではないかと思うのです。

そして今回のライブ録音というミュージシャンとしてはとてもやりがいのあるCD製作に繋がり、しかも題材は「Waltz for debby」。
リスナーとしては待ちに待ったという想いでした。

浅川太平さん、本番前はいつもそう。
お客様や足を運んでくださった方と和気あいあいとお話ししていたり、甘いものとコーヒーが好きでボーッと食べていたり。。
本当に大丈夫かな?心配するくらい(笑)。

その日もコルティスの看板猫ちゃんの写真を撮っていたり。。笑

しかしピアノの椅子に座ると、みるみるジャズピアニスト「浅川太平」に変わっていくのです。
まるで別人。
さっきまでの和気あいあいとしていた温かな空気も一瞬でピンと糸を張ったように繊細に。コルティスの渾身の照明も相まって、さらにステージが異空間に。

そして音を出した瞬間から浅川太平さんの打ち出す景色が広がるのです。
私はいつもその瞬間の快感が好きなのです。
深く深くそして、1つの音が雪みたいに消えていってしまう。

曲自体のメロディーの良さももちろんあるのですが、個人的にはそこと違うところに身を置いているように思います。
音を聞いているのに無音の中にいるような感覚になるのです。
それだけ浅川さんの音楽性は景色のようであり、幻想的で夢のような時間なのだと思います。

ライブ録音という事もあり、お客様も少し緊張していたのですが、途中のMCで浅川さんの一言。
「緊張させちゃってごめんなさいね、話しててもいいんですよ」
あれだけの音楽を弾いているのに、お客様もドッと笑いが出てしまい、少し会場の空気は柔らかくなりながら、今度は心地よく響くピアノの音に誰もが魅了されていたと思います。

国内外、星の数だけあるCD。
名盤と言われるものは手に取る機会があったとしても、個人的には音楽は出会いと相性なんだと思います。
最近は、耳心地いいCDや一瞬でパワーを発散させ分かりやすい音楽の重要性を感じています。
けれど浅川さんの音楽はふと立ち止まってしまう。
時には立ち止まって音楽と音から聞こえてくる独自の哲学に身を置いてみたくなるのです。

勝ち、負けではない音楽はきっと日本の音楽シーンをより豊かにしてくれる。
浅川太平さんという先輩ミュージシャンがそういう所で勝負してくださる事に希望を感じているのだと思います。

浅川太平、Waltz for Debbyおススメです!


◆ayuko プロフィール:

5歳の時、初めて見たマイケルジャクソンの公演で感銘を受け、音楽に興味をもち、中学卒業後単身留学。カナダでジャズピアニストPeter Taylorのグループに参加し、ホールコンサート、教会、クラブなどでヴォーカル活動を行う。その体験からソウルフルな唱法を身につけ、それが現在につながっている。
帰国後、幼少から入門していた和太鼓軍団『武蔵流龍神太鼓』の推薦を経て、埼玉県公認指導員の資格取得。和太鼓奏者として長野オリンピック、埼玉ワールドカップ、ニューヨーク同時多発テロ・ チャリティーコンサート・イン・セントラルパークなどに参加。
2006年、金丸俊史率いるwings international corporation後援により都内各所ライブハウスで本格的に活動開始。
2007年、都築学率いるブラジルバンド『Conexao Rio』のメインボーカルに抜擢。
2010年に学習院大学を卒業、翌2011年、NO!ジャンルVocal Pop Unit『Little party』を結成。カバー曲やオリジナル曲など、ジャンルに囚われないバンドとして活動を展開。
2015年、1stアルバム「Can we do it?」≪メンバー:浅川太平(p.arrange)工藤精(wb.eb)古木佳祐(wb.arrange)加納樹麻(ds)guest:大儀見元(per)岡部洋一(per)≫をaudio fab recordsよりリリース。CDはjazz japan,latina,ジャズ批評等多くのメディアで独自の世界観を持つアーティストとして取り上げられる。
2017年、クルトワイル集となる2ndアルバム「Naked circus」《メンバー:浅川太平(p.celesta)竹内直(ts)ゲスト:齋藤徹(wb)》を再びaudio fab recordsよりリリース。
現在、日本語の歌曲をジャズにアレンジした”Jazzpanese"、絵画のようにサウンドを構築する”Drawsongs”など、さまざまなユニットを意欲的に立ち上げている。
和のリズムと洋のリズムを兼ね備えた異色のボーカリストとして全国を回り精力的に活動中。

ayuko official web
https://taiheiasakawa.wixsite.com/piano




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