今回ご登場下さるのは、ドラマーとして大活躍の吉岡大輔さん。
長年にわたり様々なジャズミュージシャンのグループ、トリオに引っ張りだこで、最近では類家心平さんのRS5pb(類家心平 5 piece band)をはじめ多くのユニットにて精力的にライブ活動をされている。
今回キャリア初のリーダー作『the Express』を吉岡大輔&the Express名義で発表された吉岡さんに、このアルバムについて詳しくお伺いした。(2017年3月)

---今回初のリーダー作を作ることになった経緯やきっかけなどを教えて頂けますか?
また、the Expressという名称にはどんな想いが込められているのでしょうか。


吉岡:2005年くらいから、盟友・石崎忍(Alto Sax)と、現在の唯一のオリジナルメンバー田中啓介(Bass)等とで、前身のバンド"Funky Express"を結成し活動していました。
直訳したら、Funky急行というように、日本人らしいFunkyさ、そして、疾走感のあるバンドにしたいと思い名付けました。

20代の私は、Straight Ahead Jazzに打ち込む傍ら、Club等でGroove系のBandやHip-HopBandなどで演奏していました。
今までの自分のイメージは、"JazzDrummer"が強く、Jazz以前は、Rock,Soul,funkなどを演奏していたので、そういった自分の側面も、もっとみんなに知って欲しいと思っていました。

当時、JamBandブームで、夜な夜な渋谷界隈のClub等で、何とも刺激的なJamが頻繁に行われておりました。自分はJazzClubでライブを終え、そこに飛び入り当時のメンバーに出会いました。
そのVibesがとても心地よく、こういったGroove musicとJazzを融合させたいと思い、Funky Expressで、いわゆる硬派なJazzファンだけではなく、自分より若い世代にオリジナルのGrooveMusicをアピールしたいと結成しました。

その後何回かメンバーチェンジをして、ライブは定期的にやっていましたが、活動10年で書き溜めていた曲もあったし、『そろそろCDとして形に残して行かないと!』と思っていた所でした。

2015年暮れに、現メンバー島裕介が監修するレーベル『等々力ジャズレコーズ』で出さないか?と島に提案されて、レコーディングしようと一念発起しました。

今までは、Jazz Funk等のGroove Musicの要素を前面に出していましたが、Jazz Drummerとして20周年を迎えたし、Jazzの要素も前に出して行こうと、CDデビューに伴い"Funky"を取って、"吉岡大輔&the Express"とバンド名を変えました。

---レコーディングはどのぐらいの期間かかりましたか?
どのように進めていったかについても教えて頂けますでしょうか。


吉岡:レコーディングはレーベルの所有するスタジオで、2016年7月12,13日の2日間で行いました。
所謂、プリプロ(レコーディングのリハーサル)は、バンドでは一回もやりませんでした。
僕が中心になる曲は、Macとシーケンサー(Logic)を使って、細かいところまでデモ音源を作って、譜面も細かく書いていました。
その成果もあって、ほとんどの曲をほぼワンテイクで録り終えました。

僕は基本的に、テイク数を重ねるのは嫌いなんです。
リズムの勢いは、Take1の方が絶対に良いので、それを意識していました。
ライブの時のような熱量と臨場感が収録できたと思います。

丸2日間スタジオを押さえていましたが、2日目の15時くらいには全部録り終えていました。
正味1日半でしたね。こんなに順調に進んだレコーディングは初めてでした。

---このアルバムでは2曲をのぞいて吉岡さんの作曲ですね。
作曲方法はどのようにされているのですか?現場でのセッションで作ることもあるのでしょうか。


吉岡:ドラマーなのにどうやって曲かくの?とよく言われます。
以前はギターを使って作っていましたが、ここ最近はピアノで作る事が多いです。
基本的に、シーケンサーLogicにMIDIを使って作っています。
実際にピアノはリアルタイムで弾けるほどうまくないので、頭の中にあるメロディーやコードをテンポを落として弾いたり、または打ち込んだりしています。
トラックメーカー的な作り方かも知れません。

3.BoogieSwing、8.Chillin'、10.Turquoise Blue、12.Midnight Jamの4曲はレコーディングならではのinterlude的な曲を入れたいと思い、収録しました。
簡単なモチーフだけ決めて、Studio Sessionをして作り上げました。
管楽器のオーバーダブはしていますが、どの曲も一発ワンテイクのみのものになりました。
この4曲は、タイトルは後付けです。

---印象的なタイトルが多いですが、タイトルと曲とでは、どちらが先に浮かびますか?

吉岡:僕の場合は、曲のタイトルは、曲と同時に浮かんでくる感じです。
作曲もまずイメージありきで、それに近づけて行く感じです。
旅行に行った時の風景や、散歩した時や、映画を見たりしたときの映像、イメージを思い浮かべたりして。
映像を見ると音が浮かんでくる場合が多いです。
そのうちドラマや映画のサウンドトラックなんかにも挑戦してみたいです。

---様々なバンドでドラムを叩いてこられた吉岡さんですが、他のアーティストがリーダーのバンドとご自身のバンドとでは、立ち位置とかお気持ちもいろいろ違ってくるかと思います。
そのあたりはいかがお考えでしょうか。


吉岡:基本的にこのバンドでは、僕がほとんど作曲・編曲・ホーンアレンジを担っています。
自分の音楽感が全て詰まったバンドと言えます。

Jazzにおいて、ドラマーというのは、クラシックでいうところの指揮者のような役割で、全体を把握する必要もあるし、さらにJazzでは即興とアンサンブルが命ですからメンバーを鼓舞するPlayも求められている存在だと思います。

基本的にリズムセクションですから守りの側面が強いですが、時には主張して行く攻めの姿勢も必要ですね。
リーダーバンドとサイドメンでは心構えは変えていないつもりですが、自分のバンドではドラムに焦点を当てた曲が多いので、必然的に手数は多くなってますね。

全体を把握するという力は、リーダーバンドをやる事で鍛えられている感はあります。
一曲の中の構成・ソロ順、ライブの場合だと曲順・構成・MCなど、一日のライブをトータルで考えるようにはなりました。
2012〜2014年まで、由紀さおりさんのコンサートサポートをやらせて頂けたのですが、その時の舞台芸術の経験がリーダーバンドには役に立っていると思います。


---ここからは、曲をピックアップしてお伺いします。
◆2.LittleDrummerBoy
---キーボードのバッキングが心地良くて楽しい曲ですね。
これは吉岡さんの子供時代のことかな?と勝手に思ったりしながら聴きました。


吉岡:この曲は、浅川のクラビネット、Fender Rhodesのオーバーダビングになっています。
この曲は、いつかNamn Show等のDrummers Festivalのような場所でワンマンパフォーマンスするような場面が来た時のために作りました。
馬鹿テクの少年ドラマーが、ドラムをぶっ叩いているイメージで作りました。

---吉岡さんは、ドラムを14歳でヤマハミュージックスクールにて始めたとのこと。
数ある楽器からドラムを選んだ理由を教えて頂けますか?


吉岡:楽器はやっていなかったのですが、小学生位からなぜかドラムに興味はありました。
要塞に囲まれてる感じとか、なんか憧れてましたね。
僕が中学くらいの時は、空前のバンドブームでした。ドラムをやりたいというより、とにかくバンドがやりたかった感じでしたね!
で、『楽器何にしよう?』と思ってたら、ドラムだろってなっちゃった。
それ以来、虜になってしまって、始めて数ヶ月で勝手にこれでやって行く!なんて思ってました。


◆4.Contact
---ドラムが聴きどころたっぷりでかっこいいですね。
そこに田中啓介さんのベースが加わりスリリングな雰囲気に惹きこまれます。
ライブでとても盛り上がりそうです!


吉岡:Contactは、結成当時2005年位から演奏している曲です。
いわば、人力ドラムンベースのリズムです。
90年代から、人力ドラムンベースを取り入れていたので、数々のレコーディングで演奏して来たリズムです。

この曲は珍しくリズムから作曲しました。
ジョディーフォスター主演の映画『Contact』からインスピレーションを受けて書いた曲です。
時間と空間を超えた世界をイメージして作りました。

---ベースの田中啓介さんはどんな方ですか?

吉岡:田中とは2005年に、渋谷のClubのJam sessionの界隈を彷徨っていた頃に出会いました。
グルーブと低音のセンスが素晴らしく、彼に出会いGroove musicに焦点を当てたバンドをやろうと思ったと言っても過言では無いです。

彼は、ベースは勿論、レコーディングエンジニアをしたり、PAをしたり、トラックメーカーをしたり、映像にも強くVJをやっていたり、本当に多才な人です。
レコーディングの時も彼の知識と経験に随分と助けられました。


◆6.MoonRide
---管楽器のユニゾンがとても印象的で、竹内直さんのフルートが美しいですね。
どんなイメージで作曲されたのでしょうか?


吉岡:島のフリューゲルホーン、竹内さんのフルートと、オーバーダビングで、竹内さんのバスクラリネットを入れました。
なかなか珍しい組み合わせになり、すごく気に入っています。

普段作曲は、午前中にやる事が多いのですが、この曲は珍しく夜に書きました。
月をイメージして作りました。月の光に乗って、宇宙の彼方に飛んで行きたいというような感じでしょうか。

---竹内直さんはどんな方ですか?

吉岡:竹内直さんは僕達世代よりは一回り以上、上の世代の方なんですが、常に新しい事に挑戦されているイメージがあります。
勿論様々なバンドで演奏を一緒にしていましたが、ほんとにリスペクトしている方だったので、僕のバンドにお誘いしてOKが出た時は嬉しかったです。

直さんは、ステージ上ではいつもエネルギッシュですが、楽しそうに演奏されていて、オーディエンスに喜びを与える事のできる素晴らしいプレイヤーだと思います。


◆9.19Loops
---キーボードの浅川太平さん作曲。ちょっと不思議なムードのある曲ですね。
浅川さんについても、ご紹介をお願い致します。


吉岡:自分の曲だけではなく、アルバムに幅を持たせたいと思い今回のアルバムには、浅川、田中に1曲ずつ提供してもらいました。

浅川は、自身のTrioを中心に、Acoustic Pianoの名手です。
その彼に、今回は敢えてキーボードサウンドに挑戦してもらいました。
Fender Rhodes、Organ、Clavinet、Pianoと多彩なキーボードワークをしてくれました。
サウンドのバリエーションに富んだ作品になったのも彼のおかげです。

浅川とは、ここ数年様々な状況で、最も共演回数の多いピアニストです。
ピアノプレイは勿論ですが、独自の世界観を持ったピアニストで、素晴らしい彼のアレンジ、作曲にはいつも刺激を受けています。
僕のどの曲も、良い意味で化けてるのは、彼のコードワークの素晴らしさがあっての事です。


◆12.Midnight Jam
---ちょっと寂しげな曲。エレピが活躍ですね。
ミッドナイトということで、どんなイメージなんだろう?と想像をかきたてられました。


吉岡:これもStudio sessionの曲でタイトルは後付けです。この曲はTrioのみの演奏ですが、後で聞いて、深夜に気だるくSessionしてる風の曲だと思い、"Midnight Jam"としました。


◆13.Overtime
---アルバムの締めくくりはスリリングでテンション上がるナンバー。
島裕介さんのトランペットが冴えまくっていますね。島さんとの出会いはいつ頃からですか?島さんのお人柄についても教えて頂けますか?


吉岡:この曲は、このアルバムの中では、最新の2016年に作った曲です。
Jazzらしいナンバーが欲しいと思い、作りました。

バスケットの試合で、延長戦(Overtime)まで縺れ込んだような白熱したスリリングな緊張感あるイメージを曲にしました。
島が、水を得た魚のように、痛快なソロを吹いています。

島とのエピソードは沢山あります。
大学は違いますが、大学時代に演奏している仲間で20年来の付き合いです。
ミュージシャンとしても、もちろん信頼してますが、人間的にも面倒見の良い人で、僕だけではなく後輩達にも慕われています。頼りになって、そして優しい人柄です。

---せっかくの機会なので、吉岡さんのプライベートについてもお伺いしたいです。
最近お好きなもの、ハマっているものについて教えて頂けますか?


吉岡:ハマっているものと言えば、料理とバスケットですね!!
料理は、決してうまいとは言えませんが、楽しくおかしくやってます。
料理と作曲は、なんか似ている気がします。これからは料理をしてて曲が浮かぶ事もありそうな予感です(笑)。

バスケは、休みのときに、仲間とやっています。
日本初のプロリーグ"B League"も開幕したので、注目しています。たまに観戦にも行っています。
ドラマーのようなチームの司令塔、Point Guardというポジションが気になってしまいます。
田臥勇太選手、富樫勇樹選手、NBAでは、Boston CelticsのIsiah Thomas選手のファンです。


---学生時代に、吉岡さんはどんな音楽を聴いてきましたか?

吉岡:学生時代は様々な音楽を聴いてきましたが、敢えて言えば、JazzとSoulですかね。
Jazzではマイルスデイビスが好きで、当時は集めていました。
Soulでよく聞いていたのはDonny Hathawayです。

Drummerでは、Tony WilliamsとElvin Jonesをよく聞いていました。
Jazz drumの革命を起こした二人だと思います。


---このWEBマガジン恒例の質問です。
吉岡さんにとってのCheer Up!ミュージックを教えて頂けますか?


吉岡:休みの時はたまに元気をもらいに、Soul Barに行ったりもします。
一番好きなシンガーは、Luther Vandorossです。『Never Too Much』って曲は元気でます。
日本人なら久保田利伸さんのファンです。


---今後のthe Expressの展望について教えて頂けますか?
また、吉岡さん個人の展望や夢なども伺えますでしょうか?


吉岡:the Expressでは、曲のストックはまだまだ沢山あるので、あと2、3枚はアルバム出したいなとか、Singerとのコラボレーションとか、歌もののオリジナル曲を制作したいなとかはあります。

5月には、名古屋、大阪、広島とCD発売ツアーがあります。
サイドマンでは全国津々浦々行きましたが、自分のバンドではどこにも行った事がないので、関東だけではなく様々な土地に行って、その土地の方に聞いてもらいたいと思っています。

2016年に、旅行ではタイ・ベトナム、演奏では中国大連に行きましたが、とても活気があって、人々が音楽や文化に対して興味津々で、貪欲さが凄いなと思いました。
アジアでの、Jazz、音楽の可能性を感じましたし、将来、演奏やドラムワークショップなど音楽を通じて、現地の方と交流できると良いなと思っています。

いろいろやりたい事はありますが、シンプルに、今よりいい音楽やれるようになりたいですね。

---どうもありがとうございました。吉岡さんのますますのご活躍、そして次のアルバムも楽しみにしております。





吉岡大輔&the Express/『the Express』

1.DeeBoogie
2.LittleDrummerBoy
3.BoogieSwing
4.Contact
5.Dan-Revo
6.MoonRide
7.Bird in the Night
8.Chillin'
9.19Loops
10.Turquoise Blue
11.Glacier Forest
12.Midnight Jam
13.Overtime

Daisuke Yoshioka Composed (1-8,10.12.13)
Taihei Asakawa Composed(9)
Keisuke Tanaka Composed(11)

【発売元】等々力ジャズレコーズ
     Distributed by Disk Union
【価格】2500円(税別)
【発売日】2016/11/23
【メンバー】
吉岡大輔 Daisuke Yoshioka(Drums)
島裕介 Yusuke Shima(Trumpet,Flurgelhorn)
竹内直 Nao Takeuchi(TenorSax,Flute,Bass Clarinet)
浅川太平 Taihei Asakawa(Piano,Fender Rhodes,Clavinet,Organ)
田中啓介 Keisuke Tanaka(Electric Bass)









◆吉岡大輔 プロフィール:

吉岡大輔(Drummer,Composer,Arranger)
広島市出身.14歳でドラムを初め,18歳で上京。専修大学在学中より、日本の様々なJazz Giantとの共演を重ね、ライブ&スタジオワーク等で活動を展開。2003年、チョン・ミョンフン指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の公演(2003)に参加2008年より法政大学経営学部非常勤講師を務める等多方面で活躍。著作は教則DVD『ジャズドラム自由自在』(アトスインターショナル)など。現在は、自己のバンド 吉岡大輔&the Expressを中心に、RS5pb(類家心平5Piece Band)等で活動中。
また、由紀さおり(vo)コンサートサポートとして、全国ツアー(2012〜2014)、TV各種メディア(TBS『うたばん』、『音楽の日』等)で活動するなど、共演者は多岐にわたり、Jazzを中心に、Pops&R&B、Latin音楽などジャンルの枠を超えた活動を展開中。自身のバンド吉岡大輔&theExpressとして、2016年11月待望のFirst CD Album『the Express』をリリース。
繊細でダイナミックな表現とジャンルを問わない音楽性は多くのファンを魅了している。


吉岡大輔 Official Web Site
http://www.yoshiokadaisuke.com

Twitter
https://twitter.com/drummerdaikichi

♪最新Live information
詳細・予約につきましては吉岡さんのサイトで確認をお願い致します。
http://www.yoshiokadaisuke.com/live/

2017/3/8(水)六本木Varit
ROPPONGI VARIT 1st anniversary party!! 『Chaotic Territory』
OPEN/18:30 / START/19:00
RS5pb(類家心平 5 piece band)にて出演


2017/3/11(土)日立システムズホール仙台 シアターホール
東北タップダンス&アートフェスティバル
OPEN16:30  START 17:00


2017/3/20(月)水戸Jazz Room Cortez
【RS5pb (類家心平 5 piece band)】


2017/3/26(日)日吉 Wonderwall Yokohama
【吉岡大輔&the Express CD『The Express』発売記念 Live】
1st/18:30 2nd/20:00 入替無し


2017/3/30(木)茅ヶ崎Jam in the Box
吉岡大輔&the Express


2017/4/5(水)MotionBlue Yokohama
【RS5pb (類家心平 5 piece band)】


2017/5/7(日)元住吉Powers2
【吉岡大輔Birthday live,the Express feautearing Ayuko(vo)】


2017/5/19(金)名古屋Mr.Kenny's
【吉岡大輔&the Express CD『The Express』発売記念 Tour】


2017/5/20(土)広島市 Live Juke
【吉岡大輔&the Express CD『The Express』発売記念 Tour】


2017/5/21(日)大阪 Jazz on Top ActV
【吉岡大輔&the Express CD『The Express』発売記念 Tour】


<Cheer Up!関連リンク>

類家心平『Unda』インタビュー
http://www.cheerup777.com/ruike_unda.html

島裕介『SilentJazzCase2』インタビュー
http://www.cheerup777.com/shima_silent.html





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