■白浜久(Hisashi Shirahama)




Kind of blue / Miles Davis (1959)
参加メンバー:ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エバンス、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブ



僕が生まれたほんの2年後にこんな凄いアルバムが世に出ていたのか!

マイルスのアルバムを初めて聴いたのは1973年、ビッチズ・ブリューという二枚組ライブ。当時僕は高校二年生で音楽仲間に連れられ生まれて初めてジャズ喫茶に行き、その時かかっていたレコードがこのアルバムだったってワケだ。その時は全員がデタラメに演奏しているようにしか聴こえなかったんだが、コーヒー一杯で2時間以上時間を潰せるところが気に入って、以来足繁く通うようになっていた。
それまでジャズというのは1小節の中にコード(それも複雑な)が4つ以上あって理論をきっちり理解しなければ演奏するどころか聴くのも躊躇われる存在だったんだが、マイルスが生み出したモード奏法はそれまでのジャズの複雑なコード進行をリセットし、次々に革命的なアルバムを生み出していた。
そして後追いで本アルバム「Kind of blue」に辿り着いたんだが、これはそれまでのハイブロウなジャズとその後マイルスやコルトレーンが追及した新しいスタイルの狭間にあって、その当時は少し地味な印象を受けたが、気がつくとこのアルバムが一番ターンテーブルに乗せられていた。そしてCDになった今でも年に何回か聴いている。40年という歳月の洗礼を受けなお聴く度に新たな感動があり発見がある。
後書きとして付け加えるが、最近のロックが面白くないのはジャズとの距離が離れて行ったせいだと僕は思っている。少なくとも70年代までのロックはギターソロが楽曲の重要なエレメントだったがいつの間にか即興部分は大幅に削られソロの部分はせいぜい8〜16小節しか与えられなくなり、それも即興ではなく決められたメロディをなぞるだけ。それはそれで良い面もあるだろうが・・・若いギタリストが「ギターソロはダサい」と言っているのを聞くと何とも寂しい気にさせられる。
兎に角僕は80年代以降両耳で聴くジャンルはジャズとクラシックがメインになっている。
その中でもマイルスのこの「Kind of blue」は大海原を航海する船にとっての灯台のように僕の音楽人生の道標になったのは間違いない。





白浜久 プロフィール:

西南学院大文学部外国語学科卒。在学中、第一期のThe Modsでギター担当、ライブ中ブチ壊したギターは数限りない。卒業後、法務教官として小田原少年院に勤務。二年後、音楽の虫が騒ぎ出して退職、進学塾で 数学を教えながらデモ制作、これがビクターで認められ1985年、ソロアルバム発表。ほぼ同時期に斎藤光浩氏(BOW WOW)の抜けたARBにギタリストとして参加(当時のライブやヒストリー物のDVDが販売されています。興味ある方はTSUTAYAで借りて下さい)。 90年までに、ARBで4枚のアルバムと、3枚のソロアルバム発表。90年、東芝EMIへ移籍、4th「90's Paradox」発表。2000年、VIVIDより5th「color of my life」発表。
プロデュースしたアーティストは福山雅治、山本太郎、ユニコーン、他。楽曲提供は時任三郎、真田広之、山瀬まみ、福山雅治、他。
また非行問題の講演等活動は多岐に渡る。


◎白浜久 Official Site
http://pandars.net/

◎Hisashi Shirahama Official Blog
http://blog.pandars.net/




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