ピラニカの魅力を伝えるのは難しい。2ndアルバム『Dimoral』を聴いて、ますますその難しさを感じた。バラエティに富んだ曲調、ちょっと不思議だけど心ひかれる歌の数々。
ぜひアルバム、ライブ、動画などでピラニカに触れてみてほしい。いつの間にか歌を口ずさんでいるはず!

今回はヒデヒコさん、2代目ボーカル・ティダさんにアルバム制作秘話やお互いをどう思っているか?など様々な角度からピラニカの魅力に迫るべくインタビューさせていただきました。(2025年5月)

---ピラニカの2ndアルバム良いですね〜!このアルバムを作ることになったいきさつについて伺えますか?

ヒデヒコ:ティダとユニットを組んでから、早々に曲を作り始めて、出来上がったら録音というパターンになって行きました。気づいたらアルバム分が出来上がってたというわけです。
2人ともお酒が好きで、たとえばボーカル録音中に、これで良いテイクが録れたら呑みに行けるよ、と気合いを掛け合う事が多かったです。

---ティダさんとの出会いのきっかけは?

ヒデヒコ:初代ボーカル・ケロヨンが抜けて、さあどうしようかと思っている頃のある日、友達がやってるバーに飲みに行った時、たまたま隣に座っていたのがティダでした。
こいつ目力強くてパティ・スミスっぽいなと思い、何となしに話しかけたら、ギター弾いて歌ってると言う。その1週間後に僕のソロ的なライブが予定されていたので、アンコールで一緒に歌って貰う取り決めをして、速攻の共演。感触が良かったので、すぐにピラニカに誘いました。

---ティダさんにお伺いします。ピラニカ加入前のご経歴について伺えますか?

ティダ:学生時代バンドサークルでベースを弾いてました。卒業と同時に子育てに入り音楽活動からしばらく離れてましたが、2010年頃、ひょんなことからギター弾き語りをはじめました。ひとりでうたうならギターかなって。

2015年頃からはオリジナルをうたいはじめ、2019年はじめてのアルバム「すき」ができました。
そのCDを携えてヨーロッパツアーにいきました。
2023年ヒデヒコと出逢い「ピラニカ」でうたうことになって、いまに至ります。

---ティダさんからみて、ヒデヒコさんはどのようなお人柄でしょうか。

ティダ:お酒と音楽とお料理とカッコイイものが大好きな人。
わたしの知らない世界を知っている人。
わたしを知らない世界に連れて行ってくれる人。

---ヒデヒコさんからみたティダさんの魅力について教えていただけますか。

ヒデヒコ:ティダにはバイタリティがありますね。50年代あたりに日本を盛り上げていた、力強い人々のように、オモテには見えない強いエネルギーを持っています。周りに惑わされず淡々と生きている雰囲気がありますね。
歌詞に関しては時空を超えてるような表現が多くて、時々この人は宇宙からのメッセージを受信するアンテナで、それを言葉に綴っているのかなと思ったりします。

---ティダさんはこれまでどんな音楽を聴いてこられたのか気になります。学生時代によく聴いた音楽や影響を受けたなと思うジャンルやアーティストについて教えていただけますか。

ティダ:高校時代はインディーズブームで「ZELDA」のコピーバンドでベースを弾いてました。
「ローザルクセンブルク」や「少年ナイフ」も好き。「RCサクセション」ももちろん大好き。
大学に入ってから洋楽も聞きましたがそんなには知らなくて。
「テレビジョン」とか「トーキングヘッズ」とか好きでした。
Eテレの番組の曲も好きです。

---そんなティダさんが加入したピラニカですが、どこか可愛らしさがあるタイトルが多く、アルバムを聴く前から「どんな曲なんだろう?」って気になるんですよね。「レインドロップ ティアドロップ」なんて、韻を踏んでいてウキウキするし、「ステキな朝だね」ってタイトルだけで明るい気持ちになります。以前のインタビューでヒデヒコさんには曲作りについて伺いましたが、そのあたりいかがですか?

ヒデヒコ:さあ曲を作るぞってギターを持って作曲し始めるという事はないですね。ふと思いついたメロディーや気になった言葉からインスパイアされて作り始めることが多いです。
「レインドロップティアドロップ」は、確かティダとフレーズのキャッチボールをしている中で出来ていったかな。確か最後の最後の段階でそのタイトルフレーズがついたと思います。「素敵な朝だね」は、唯一、昔の曲で、30年以上前に作られているので、制作過程が記憶にないですね。

---ピラニカの曲では、サウンドにどこか懐かしさを感じます。オルガンやシンセベースなど…。
サウンドについて、そういう感覚(懐かしさなど)は意識されて作っていますか。

ヒデヒコ:録音でのサウンドは、主にヒップホップの人たちが使うビートメイキングマシンを使用しています。今の時代にを寄り添ったビートを意識しつつも、ポストパンク以降に培ってきた表現方法を随所にちりばめて、自分流にできているかと思います。懐かしい感触も味わえるのではないでしょうか。

---アルバムの参加メンバーは公式サイトの「ピラニカバンドメンバー」と同じでしょうか?

ヒデヒコ:今回のアルバム、実はほとんどの曲のベーシックを僕がコンピュータープログラミングと自分のギター演奏で作っています。ベースに関しては半数ほど久保田亨、オルガンパートなど数曲は、部分的に石田力、ビリー藤原に弾いて貰いました。
これらの曲も、ライブでは野生味溢れるメンバーとフィジカルにやっていて、また違った一面が楽しめるかと思います。

---前回ヒデヒコさんから、映画『パルプフィクション』を好きすぎるお話を伺いました。
また、本は常に何らか読んでいるとのこと。
最近のおすすめ映画、小説について教えていただけますか。


ヒデヒコ:ごく最近は映画館に行ってないけれど、ボブ・ディランを題材にした映画「名もなき者」はとてもよかったですね。その影響で今まであまり聞いてこなかったカントリーミュージックなども聴くようになりました。
初上映からすでに1年ちょっと経ってますが、ヴィム・ヴェンダース監督の「パーフェクトデイズ」は素晴らしい映画でした。海外の人が表現する日本を観て、これまで気にしていなかった日本の良き部分を再確認するってこともありますね。

小説に関しては、古典的な作品、パール・バックの「大地」を今更ながら読んでいます。これはだいぶ前に亡くなった祖父が薦めてくれていたものです。昔の作品はテンポ感が今のと違ってなかなか読み進めない。文庫で全4巻、やっと終わりが見えてきました。小さな島国で育った我々にない、大きなロマン感覚が味わえます。

---ティダさんはどんな趣味をお持ちですか?

ティダ:ちくちく編み編みが好きです。
最近ではふんどしを縫ったり防寒帽子を編んだりしました。
読書も大好き。「西加奈子」が好きです。
漫画も大好き。原点は「ドラえもん」。

---2025年のご予定を教えていただけますか。

ヒデヒコ:昨年夏、やっと元妻との離婚が成立し、今は自由な一人暮らしを満喫できています。今年は愛すべきローカルな下町生活を楽しみつつ、自宅での録音をより充実させたいと思っています。これからの作品に好影響が出るはずです。

---お二人それぞれに、今後の夢や展望について教えてください。

ティダ:「ピラニカ」に参加してからの2年間でかなりいろんな展開がありました。
知らなかったことたくさん経験して音楽も広がりました。
これからももっと大きく深く広がるといいな。

ヒデヒコ:夢は紅白歌合戦出場。今年90歳になった母が元気なうちに、あのNHKの舞台で演奏しているところを観せられたらいいなと思ってます。国民的ヒット曲が欲しいですね。
いや、まじで。

---どうもありがとうございました。ピラニカの音楽がますます広く聴かれるよう今後も応援してまいります!



『Dimoral』ピラニカ

01. アノネ
02. レインドロップ ティアドロップ
03. ルールのない部屋
04. 幸せから始めよう
05. ボクハナイ、キミニナル 06. 森の竜宮城
07. ボクは泳げない
08. ミドリのヘヴン
09. 合鍵でどうぞ
10. 陽気な口笛吹き
11. スイッチが入った
12. ステキな朝だね

発売日:2025年04月09日
レーベル:TOKYO MOR
規格品番:MOR6959





【作品情報】
煮込んだスープの如く、ポップミューヂックの旨味が濃縮された珠玉の全12曲。ピラニカ2ndアルバム、遂に完成!
日本国内のみならずアメリカ、イギリス等、長きに渡り音楽シーンで活躍して来たヒデヒコ(永井秀彦)。1980年代初頭より、ザ・ショッカーズ、バケラッタ、ぶどう÷グレープetc...バンドが変わりながらも、その持ち味である、ポップでキャッチーでエネルギッシュなフィーリングを一貫して伝え続けている。
ピラニカは、ヒデヒコ(永井秀彦)とケロヨンにより、2019年3月結成。キリッとクールなアコースティックなサウンドでありながら、ポップ、キュートでパワフルな佇まいが持ち味。数々の配信シングル、ミニ・アルバムと1stアルバム「YAWARAWARA」をリリース。好評を得る。
2023年、ケロヨンに代わりヴォーカルとして、シンガーソングライターのティダが加入し再始動。数々のライブを重ねながら、新曲のレコーディングも並行して行い、ティダ加入から2年、じっくり煮込んだスープの如く、旨味が濃縮された珠玉の全12曲、ここに2ndアルバム「Dimoral」遂に完成!




【ピラニカ プロフィール】
ヒデヒコ(永井秀彦)とケロヨンにより、2019年3月結成。
ライブを中心に活動を開始し、2020年1月、デビューシングル「愛の暴走」を配信リリース。
この曲が話題を呼び、その後のライブに期待が掛かったが、2020年3月の全世界的なコロナ禍により軒並み中止に。
発想の転換でステイホームな創作活動に専念し、2020年5月シングル「ラッキーサンデー」「電子音が鳴ってる」2曲同時配信リリース、2020年10月、4曲収録のミニ・アルバム「はつみに」配信リリース。
ライブ活動も徐々に再開し始め、さらなる進化を続ける中、満を持して2022年3月1stアルバム「YAWARAWARA」をCDと配信でリリース。
2023年、ボーカルのケロヨンに代わり、ティダが加入。

【ヒデヒコ(永井秀彦)プロフィール】
1981年、「ザ・ショッカーズ」(永井秀彦、久保田亨、中村達也)でのライブデビュー後、1990年代は「バケラッタ」、2000年以降は「ぶどう÷グレープ」での活動を中心にライブハウスシーン最先端で活躍。
老舗レーベル、VIVID SOUNDと契約し、充実した内容のアルバムを発表し続ける。
2007年にはサエキけんぞうとの共作曲がリクルート社、タウンページのCMソングに起用され話題になる。
2008年のぶどう÷グレープUSAツアーでの海外成功をおさめた自信を、その後の3度のイギリスツアーで、より強固なものにした。
ぶどう÷グレープの活動停止後、
2019年、ケロヨンとのユニット、ピラニカを結成。
2022年、満を持して1stアルバム「YAWARAWARA」をTOKYO MORより発表。
2023年、ボーカルのケロヨンに代わり、ティダが加入。

【ティダ プロフィール】
2010年ギター弾き語りを始める。伸びやかな声と歌唱力により、多くのライブスポットで引っ張りだこになる。
2019年 初のCDアルバム「すき」を発表。
同年6月〜7月、ヨーロッパツアーを行う。(パリ リール ベルリン プラハ)

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<Cheer Up!関連リンク>
ピラニカ『YAWARAWARA』インタビュー(2022年)
http://www.cheerup777.com/2022piranica.html





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