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音楽好きな方だけでなく、こんなご時世だからこそ一人でも多くの方に観ていただきたいとおすすめできる映画をご紹介します。



映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』

<作品概要>
“世界で最も解決が難しい”とされる紛争で今この時も闘うパレスチナとイスラエルから、音楽家を夢見る若者たちを集めてオーケストラが結成される──。 現実にはあり得ない物語に見えるが、実在の管弦楽団へのインスパイアから生まれたという驚きの映画が完成した。 若者たちの対立と葛藤、恋と友情を彩るのは、誰もが知るクラシックの名曲の数々。 和平コンサートが目前に迫った 21 日間の合宿で、激しく憎しみをぶつけ合う団員たち。ラストに待つ、誰も想像しなかった “魂の演奏”とは──! 世界中で観客賞に輝いた感動作が、ついに日本でも奇跡のハーモニーを奏でる。




中東問題は難しそう、歴史や政治が絡んでいるのは苦手…と思う方でも大丈夫。そのあたりは分かりやすく描かれており、学生さんでもすんなりストーリーに入っていけると思います。
とはいえ、鑑賞後は考え込んでしまいました。難しい。難し過ぎる。なぜ人は憎しみ合うのか、戦いを止めないのか。真の平和とは?自分にできることはあるのか?
まずはこの映画を観ることが第一歩になるのかもしれません。

劇中で奏でられる音楽の美しさ、少しずつ距離を縮める若者たち、それゆえずっしり心に響きます。
また、このオーケストラにはモデルがあるというから驚きです。巨匠指揮者ダニエル・バレンボイムと米文学者エドワード・サイードが中東の障壁を打ち破ろうと1999年に設立した和平オーケストラ「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」です。このオーケストラからインスパイアされて、映画が生まれたとのこと。
忘れられない映画になりました。公開されたら大きな話題を呼ぶこと間違いなしです。


2022年1月28日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開

公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/crescendo/
Twitter
https://twitter.com/Crescendo_movie

劇場情報
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=tDnhYacT

監督:ドロール・ザハヴィ

脚本:ヨハネス・ロッター、ドロール・ザハヴィ 出演:ペーター・シモニシェック(『ありがとう、トニ・エルドマン』) 
ダニエル・ドンスコイ (「ザ・クラウン」「女王ヴィクトリア 愛に生きる」)
サブリナ・アマーリ

2019年/ドイツ/英語・ドイツ語・ヘブライ語・アラビア語/112分/スコープ/カラー/5.1ch/原題:CRESCENDO #makemusicnotwar/日本語字幕:牧野琴子/字幕監修:細田和江
©CCC Filmkunst GmbH
配給:松竹


【イベント情報】

2022年1月20日(木)ユーロライブ(渋谷区円山町)にて、トークイベント付試写会が開催されました。

ゲストはヴァイオリニストの廣津留すみれさん。起業家、著作家でもある廣津留さんは12歳で九州交響楽団と共演、高校在学中にNY・カーネギーホールにてソロデビューと学生時代から活躍。2021年もはパラリンピック公式ゲーム”Pegasus Dream Tour”のテーマ曲を担当したり、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』にレギュラー出演など幅広く活躍されています。



ハーバード大学、ジュリアード音楽院をそれぞれ首席で卒業されている廣津留さんは海外経験も豊富。
大学在籍時に、当時在籍していた「ハーバードラドクリフオーケストラ」のツアーで、本作の舞台であるイスラエルとパレスチナを訪れたそうです。
イスラエルでのコンサート後、パレスチナの音楽院へ現地の学生とセッションをするために向かったところ、「イスラエルで演奏してきたあなたたちとは一緒に演奏することができませんとお断りをされてしまいました。計画になかったことで、すごく衝撃的でした」 、「音楽でその問題を解決できるのではないかと希望を持っていましたが、反対に音楽は共通言語だと いう考えが覆されてしまった、 音楽を持ってしても敵わないことがあるのだと感じました」と、映画でも描かれるイスラエルとパレスチナ問題の根深さについて語りました。

本作に登場する和平オーケストラのモデルとなった実在の民族混合オーケストラを率いる、巨匠指揮者のダニエル・バレンボイム氏については「世界の和平を目指すという根本的なところがまったくブレない人。忖度がないですよね。世界平和のために間違っていると思うことに対して自分の意見を言える、それってすごい難しいことだと思います」と語り、これまでに出会ったカリスマ的な指揮者や奏者について質問されると、世界的チェリストのヨーヨー・マさんの名前を挙げてくださいました。

本作で忘れられない楽曲の一つがラヴェルのボレロ。「ボレロなしでこの映画は語れないですよね。みんなが同じメロディを弾くので、みんなが心を通わせないと演奏できない曲です」
最後に「コロナが長引く中で、私たちは段々と自分の国のことしか考えられなくなってしまいがちです。しかし自分の周りにはいろいろなバックグラウンドの人、いろいろな民族、国籍の人がいます。 相手を理解しようとする姿勢、対話をしようとする姿勢を忘れずにいきたいと思います」と語りました。

< 廣津留すみれさんコメント >
「音楽で世界を平和に」なんて夢物語なのかもしれない、命をかけて音を紡ぐ若者たちの姿に冷酷な現実を突きつけられます。それでも対話を続けることの大切さと尊さ。多くの人に届いてほしい。」




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